こんにちは、LETR WORKSから様々なストーリーをお届けしているブログ担当です。
2025年もいよいよ締めくくりの時期を迎えました。「乙巳(きのとみ)」の年、2025年が始まったのがつい昨日のことのようですが、もう年末だなんて、本当に月日が流れるのは早いものですね。
時の流れと同じように、AI技術の発展も目覚ましい一年でした。最近では、日常生活や業務で対話型AIモデルを頻繁に利用されている方も多いのではないでしょうか。
「単純な」プロンプトと「具体的な」プロンプトの違い
ChatGPTやGeminiのような汎用モデル以外にも、Claude AIやPerplexityなど、用途に応じて様々なAIモデルが活用されています。重要なのは、同じモデルであっても、どのような指示(プロンプト)を与えるかによって、生成される結果の品質が大きく左右されるという点です。
例として、年末におすすめの映画やドラマを推薦してもらうことを目的に、AIモデルに指示を出してみましょう。
<ChatGPTへのプロンプト提示例>
ChatGPTにどのように依頼したかによって、結果には大きな差が出ました。特別な条件を与えず、単純にコンテンツの推薦を求めた場合(プロンプト A)、AIは「心温まるヒーリング系」「冬」「年末のムード」など、汎用的な分類基準に基づいた多様なジャンルを提案しました。
一方で、以前楽しんだ特定のコンテンツ(『ストレンジャー・シングス』)や『アカデミー賞受賞作』に言及し、視聴プラットフォームを【Netflix】に限定した場合(プロンプト B)、AIはユーザーの好みや要求を反映した、よりパーソナライズされた(Personalized)提案を行いました。
<異なる分類基準に基づいた多様な作品の推薦>
下の図からもわかるように、最終的にChatGPTはプロンプトAで3本、プロンプトBで5本の映画やドラマを推薦し、量的な面でも差が見られました。
結果を比較してみると、その内容は全く異なります。特に具体的なプロンプト(B)を入力した場合には、『ストレンジャー・シングス』や『アカデミー賞受賞作』といった好みに合わせ、ミステリージャンルや作品性に優れた作品を重点的に推薦してくれました。
<プロンプトの違いを実感できるChatGPT推薦작リスト>
AIは、質問した分だけ答えてくれます。具体的なプロンプトこそが、「自分に最適化された」結果を引き出す主要な要因であることがわかります。もちろん、日常生活においては一般的なプロンプトを入力することで、思いもよらなかったジャンルに出会えることもあるでしょう。しかし、自分自身の好みを明確に反映させたいのであれば、指示を具体的に入力することが最も効果的です。
こうした違いは、業務でAIを活用する際により顕著に現れます。
AIをパートナーとしてより質の高い企画を生み出したい方のために、これからAIへの「賢い頼み方」の核心となるノウハウ「5つの法則」を、2回にわたってお届けします。
💡法則 1:AIに明確な「役割(Persona)」を与える
AIに単に命令を下すだけでなく、具体的な「ペルソナ(Persona)」を設定してあげると、生成される結果の品質が飛躍的に向上します。AIに対し、質問の目的に見合った権威と専門性を指定してあげることが大きなポイントです。
今回は、コンテンツ分野に関連した例を挙げてみましょう。一般的なプロンプト例を「A」、具体的なプロンプト例を「B」として比較していきます。
<AIにペルソナを付与したプロンプト>
プロンプトA(一般的なプロンプト)は、OTT市場全体の包括的な動向を提示するにとどまりました。
一方、プロンプトB(具体的なプロンプト)は、Netflix対Disney+の競争構図を中心に、新作ラインナップを交えた具体的な分析結果を提供してくれました。
<コンテンツキュレーターの視点でNetflixとDisney+の新作競争構図を分析>
二つの回答の差は、ChatGPTが提示した「総合結論」において、より明確になります。
<結論としてキュレーターの視点でアドバイスを提供>
プロンプトAの結果が全体的な流れを把握するための「レポート」に近いものであるならば、プロンプトBは実際のコンテンツキュレーターが実務で参考にできる「戦略的アドバイス」に近いと言えます。
このように、AIに具体的な役割を与え、それにふさわしい専門性を要求してみてください。そうすることで、AIは設定されたペルソナに基づき、より専門的なパートナーとして応えてくれるはずです。
🧩法則 2:対話ではなく「構造(Format)」を設計する
AIに対し、求めるコンテンツの構造や形式(Format)をあらかじめ指定することで、結果を再加工するためにかかる時間を大幅に短縮できます。特に複雑な企画や創造的なアイデアが必要な業務ほど、形式を指定することが有利に働きます。
<構造と形式を指定したプロンプト>
プロンプトAは、「予告編の紹介」形式の回答を提示しました。Disney+の予告編の標準的な様式に基づき、「予想される予告編の紹介テキスト」スタイルを提案したものです。一言で言えば、架空の予告編を作成したことになります。
プロンプトBも同様に架空の予告編を作成していますが、「1分間のYouTube予告編」という具体的な目的に加え、時間帯別の画面構成、ナレーション、効果音を含む「表形式」という明確な構造を設計しています。
<時間帯別の画面構成、ナレーション、効果音まで表形式で作成した結果物>
違いが感じられるでしょうか。プロンプトAが単純なストーリーの要約であるのに対し、プロンプトBの結果物は映像制作家が実務ですぐに活用できる「詳細な企画案」に近いと言えます。
もし映像制作の担当者であれば、映像の流れや場面を直感的に把握できるため、より創造的なアイデアの構想に集中することができます。特に、表形式の結果物をエクセルなどの文書編集ソフトにコピーすれば、手軽に修正や補完ができるため、業務効率も格段に高まります。
つまり、AIを単なる補助ツールとしてではなく、自分専用のフォーマットで結果を算出する「専門アシスタント」として活用できるのです。
今回の第1弾では、「AIへの賢い頼み方 5つの法則」をテーマに、2つ目の法則までをご紹介しました。
次回の第2弾では、残りの3つの法則とともに、2026年の幕開けを飾る最初の投稿として戻ってまいります。
それでは、第2弾でお会いしましょう!